あれは、土曜の深夜から日曜の早朝にかけての出来事だった。
最近日課にしている運動をいつもよりも少しハードめにこなし、心地よい疲れとともに穏やかな眠りにつく、そう、そのはずだった。

日記を書いて、渋でジャンルタグの膨大な新着を全チェックし、動画を数本視聴。
ふと気がつけば午前2時。あくびが出る。とろけるように甘い睡魔が脳を浸す。
 もう、寝よう。
PC机から半歩移動しベッドに転進、電灯の延長スイッチ紐を引っ張って消灯、布団に潜入、枕の位置を一番いい位置に調整。
いつものごとく、安寧と安らぎの世界に素早く移行して気がつけば朝、のはずだったのだが。
少しうとうとし、突然覚醒した。させられた。
全身が動かない。背中から頬にかけて皮膚の表面が泡立つような異様な気配。
可聴域ぎりぎり外側の音ならぬ音が鼓膜を鋭く刺激する。端的にいえば、「キーンという耳鳴り」である。
 へぇ、金縛りか。何年ぶりだろう。
どう考えても状況から睡眠麻痺であるのは確実なので、恐怖感はまったくない。
ただ、寝入りばなに起こされた(というか起きてしまった)ことが不快だった。
無視して寝ようかと思ったが、なんだか妙だ。
恐怖感はない。これが生理現象であることはまったく疑っていない。
けれども、背中がゾクゾクする感覚が止まない。皮膚がちりちりするいやな感じが止まらない。寒くも無いのに歯の根が合わない。
精神的にはまったく恐怖を感じていないにもかかわらず、身体は恐怖を感じたときの反応を止めない。
なんだか凄く、気持ちが悪い。
なんと表現したらよいのだろうか。クリムゾン的触手媚薬系「クヤシイ、ビクンビクン」ならぬ、「クヤシイ、ゾクンゾクン」状態である。いや、べつに悔しくは無いが。
 この金縛り&背中ゾクゾクノンストップ状態、ナニ?
 ひょっとして急な発熱?
 でも、熱が出ると眼球が熱くなるけど今はそうじゃない。
 うーん、わからん。
 自律神経失調とかそっち系?
原因を考察してみたが、いっかな状況は好転しない。
困り果てたあげく、万に一つもオカルト系の事象である可能性はないだろうと思いつつも、かねてより一度試してみたかった心霊現象撃退法を試してみることにした。
『萌え(もしくはエロ)は霊に勝つる』というやつである。
先人たちの事例としてググってすぐ出てくる範囲では下記のようなものがある。
http://syarecowa.moo.jp/124/50.html
http://syarecowa.moo.jp/134/6.html
他にも、同人板の恐い話スレで
『イベント後に宿泊したホテルの部屋が出る部屋で、やはり出てしまった。しかしとっさに思いついて昼間に大量に購入した薄い本でベッドの周りを取り囲み結界()を作って寝たら、その後は朝まで安眠できた』
とか
『イベンド前に宿泊したホテルで、枕元に暗い顔をした男が立って何かを訴えかけてきた。しかし無視して萌えキャラ妄想にふけっていたら男は酸っぱいものを飲んだような表情になって消えていき、その後は朝まで安眠できた』
等の数々の成功例が報告されていたように記憶している。
 OK、萌えとエロね
金縛られたまま、脳内でそれっぽい妄想を展開しようとしたが・・・ダメ、全然だめ。全然出てこない。
そういえば、最近は寄る年波かめっきり淡白になってしまい、渋でもブクマするのはもっぱらほのぼの系やギャグ系ばかりだ。エロの方面は無理っぽいのでほのぼのシチュでしばらく萌えてみたが、異常な皮膚感覚は収まらない。
 まぁ、心霊系の状況じゃないしな。
 インフルエンザに抗生物質を投与するようなもんだ。
同人板的退魔法は諦めた。
その後、背中ゾクゾクは収まらないが金縛りは収まったので部屋の電気つけてPCつけて朝まで動画を視聴していた。
ほぼ完徹した形になり、翌日の日曜は使い物にならない状態だった。
でも昼間に寝ちゃったら夜に眠れなくて月曜に差し障ると思って、だらだらPCで遊んでいた。


その明けて日曜。
兄貴夫婦がうちに遊びに来ていた。私はひたすら自室にこもってPCしていたが、階下から時折祖母と甥っ子たちの声がしていた。
昼ごろに外食に誘われたが、読みかけの支部のジャンル小説が丁度佳境に入っていたのでパスした。
そのままネット、ネット、ネット。気がつけば夜になっていた。
 晩飯、どうしよーか
 マルタイの棒ラーメンがまだ1食分あったから、あれ食べよう。
そんなことを考えながら延々渋漬けになっていると、部屋のドアがいきなり開いた。
「おばちゃーん、お外にご飯食べにいくよー」
甥っ子1号であった。そのとき見ていたのが小説で本当によかった。ブクマするのはほのぼのギャグ系でも、画面肌色系も一応全部チェックはするから。
で、困った。
これが
「食べに行く?」
だったら断ったが、小学校低学年に行くこと前提で誘われて「いやーおばちゃん、きみらとご飯たべるよりもネットで遊んでいたいから」というのはあまりにも大人気ない。
まぁ、体調が悪いとか適当に嘘ついても良かったのだが、昼に続いて夜も断って、なんか避けてるとか思われるのも困るので、致し方なくPCを消して兄貴夫婦たちと食べに行くことになったのだが。

そのへんで色々疲れた。

兄貴「おまえ会社の方は最近どうだ? そろそろ昇進とかないんか?」
私「・・・・・・」

職責は変わってないけど事実上の降格左遷も同然の処分受けて、部下一人無い名のみの管理職で日のあたる窓際でルーチンワークの日々ですが

とか事実を言ってしまうと、せっかくの楽しい会食の場が台無しである。
私「ははは、まぁ、ぼちぼちってところかな」
むなしい笑顔に頬が引きつる。

兄嫁「そろそろ忘年会の季節よね。○○ちゃん(私)の会社はやるの?」
私「・・・・・・」

忘年会、やるのかもしれんけど。私は声は掛からないよ、たぶん。仮に開催連絡が来ても行きたくないなぁ。行っても気まずいし私が行かない方が盛り上がるだろうから空気読んだ方がいいと思うんですよねー

とか事実を言ってしまうと、せっかくの楽しい会食の(以下略

肉は美味しかったが、頬が引きつった。
そんなこんなで精神的に疲れて、日曜はそうそうに就寝。前日ほとんど眠っていないからか、その夜は謎の悪寒に苦しめられることなく安らかに眠った。


翌日月曜日、今日である。
今日は、まぁ、何事もなかったといってよい平和な一日であった。
ただ、朝から雨が降っていた。
玄関の傘立てから傘を選ぶとき、いつものMy傘ではなくビニール傘を選んでしまったのは、週末にさんざんっぱら渋でジャンルの漫画、小説を読み倒した影響だったのは否定しない。
ビニール傘はジャンプ式だった。
傘立てから引き抜いて、ボタンを押して、傘を開く。
その一連の動作の中で、かすかな違和感を感じた。
そこで気づくべきだった。
でも一昨日の徹夜の余波か、昨日の精神疲労の余波か、頭がぼーっとしていたので何も考えずそのまま傘を差して出勤した。
駅について傘を閉じた。すぐ開いた。
 ?
もう一度閉じた。すぐ開いた。
 ??
さらに、今度はしっかりと閉じた。すぐ開いた。
 ・・・!!!
3度繰り返して気づいた。ジャンプ傘を閉じた状態に保っておくためのフックの部分が壊れていた。
その上、傘留めの紐のボタンが壊れていた。
このクソッタレの傘を閉じた状態にしておくためには、濡れた外側の部分をずっと手で鷲掴みにしていしているより他にないことが判明。
濡れた手の平がちべたかったよ。

今日もステッパーはお休み。
まだ9時前だしいいよねとやろうとしたら、甥っ子が泊まりに来ているからか、親から中止命令が。

・・・うん、甥っ子は悪くないよ。
明日の昼間にやろう。








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