再現できない

2012年3月10日 日常
再現できない
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再現できない
先週作った立体形状崩壊クッキーの形状崩壊の謎を探るべく、リベンジしてみた。以下、報告。

[タイトル]
小麦粉・ショ糖・水素添加植物油を主成分とする焼成物の検討(2)

[緒言]
前回の検討において、風味については良好な結果が得られたものの、形状については焼成時に押しつぶされたような形状変化が認められた。この形状変化の原因を検証すると同時に、組成中のBPの添加効果を確認した。

[方法]

 薄力粉
 黒砂糖(粉末)
 マーガリン(原料:コーン油)
 ベーキングパウダー(以下BP)
 黒ゴマ
<使用資材、機器>
 キッチンスケール
 計量スプーン(大さじ、大さじ1/2、小さじ1/2、小さじ1/4)
 ポリ袋
 冷蔵庫
 冷凍庫
 包丁
 まな板
 クッキングシート
 オーブン
<手順>
 1)ポリ袋の中に原料をすべて秤り入れる。
 2)軽く揉むようにしてポリ袋内で原料を混合練合する。
 3)均一になり、塊化できる程度にまとまったら棒状に成型し1時間冷却する。
 4)1時間冷却後、厚み約5mmに切り分け、クッキングシートを敷いた天板上に整列配置する。
 5)予熱したオーブンを用い、上段で170℃・21分焼成する。

[結果]
BPを添加したAロットと、添加しないBロットを作成した。なお、A、Bいずれも初期マーガリン量ではポリ袋内混合時に粉末状のまま塊化しなかった(-1)。このため、1回目増量(-2)したが十分な改善が得られなかったため、2回目増量(-3)し、次の工程に進んだ。

<試作品配合量>*( )内は全質量に対する添加物の質量%
       Aロット-1     Aロット-2   Aロット-3
 薄力粉   50g(64.8%)    ←(60.8%)  ←(57.3%)
 黒砂糖   15g(19.4%)  ←(18.2%)  ←(17.2%)
 マーガリン 10g(13.0%)    15g(18.2%)  20g(22.9%)
 BP     小さじ1/4(1.3%)  ←(1.2%)   ←(1.1%)  
 黒ゴマ   小さじ1/2(1.6%)  ←(1.5%)   ←(1.4%)
         ↓        ↓        ↓
       まとまらず     まとまらず   ややボソつくが塊化可能

       Bロット-1     Bロット-2   Bロット-3
 薄力粉   50g(65.6%)    ←(61.6%)  ←(58%)
 黒砂糖   15g(19.7%)  ←(18.5%)  ←(17.4%)
 マーガリン 10g(13.1%)    15g(18.5%)  20g(23.2%)  
 黒ゴマ   小さじ1/2(1.6%)  ←(1.5%)   ←(1.4%)
         ↓        ↓        ↓
       まとまらず     まとまらず   ややボソつくが塊化可能

Aロット-3、Bロット-3をそれぞれ2分割し、棒状成型したものを一方は冷蔵庫、一方は冷凍庫に入れた。
1時間後切り分けたものの形状を画像1に、170℃・21分焼成後を画像2に示す。
なお、画像1,2の左上がAロット-3冷蔵、左下がAロット-3冷凍、右上がBロット-3冷蔵、右下がBロット-3冷凍となる。

[考察]
●油脂量
今回、マーガリン量を全量18%前後まで増量しても成型できず、最終的に23%まで添加して成型が可能となった。前回ロットでは21%添加で成型できたことから、少なくともこの小麦粉・砂糖配合量においては、油脂量は21%未満では成型が困難となると推定された。

●成形後の冷却工程における冷蔵と冷凍の効果
冷蔵処理と冷凍処理は焼成物の形状は風味に影響を及ぼさないことが確認された。

●BPの効果
今回の配合量では、BPの有無で焼成後の形状に顕著な差は認められなかった。ただし、実食時、BPを添加したAロットは、無添加のBロットと比較しさっくりとしたテクスチャーが得られた。また、BP添加のAロットにはBP特有の金属味を感じた。

●前回との比較
画像1、2に示す通り、今回は焼成前後で形状に変化はなく、前回認められた焼成時の立体構造変化は再現されなかった。また、前回に比べて焼き色が非常に薄い結果となった。形状はともかく、味については前回の方が圧倒的に優れていた。思うに、前回好ましいと感じた香ばしさは黒砂糖に起因するものではなく、軽度の焦げによって得られたものであったと推測される。今回の焼成物は香ばしさが全く感じられず、BP添加の方がテクスチャー、味のアクセントの点でBロットよりも優れていたが、それでも前回の形状崩壊ロットより大きく劣っていた。

前回の配合比は下記である。
 薄力粉   55.4%
 黒砂糖   20.8%
 マーガリン 20.8%
 BP     1.4%
 黒ゴマ   1.7%

前回ロットと比較し、今回のAロット-3は薄力粉が約2%多く、黒砂糖が約4%少なく、マーガリンが約2%多い。前回ロットの形状崩壊が焼成時の油脂の流出によるものではないかと考えて今回薄力粉配合比を増やしたが、それに伴ってマーガリン配合比を減らしたところ成型が困難となり、最終的にマーガリン量は前回試作よりも多くなった。このため、前回の形状崩壊は小麦粉に対する油脂量の割合が低かったことが原因でないと考えられた。
また、今回は全般に焼き色が薄かった。黒砂糖が約4%少ないことによる影響も考えられるが、今回ロットは香ばしさがまったく感じられなかったことから、焼成温度、時間に問題があったと考えられた。
残念ながら、前回ロットの焼成条件は記録されていない。うろ覚えとなるが、確か175℃・21~23分ではなかったかと思われる。元レシピでは170℃・約20分となっていたが、使用オーブンは火力が弱いために5℃ほど高めに設定したようか記憶がある。

今回の検討では前回の形状崩壊の原因を完全に究明することはできなかったが、砂糖の減量と焼成温度の低下(どちらかいずれか、もしくはその相乗効果)が原因ではないかと考えれた。
また、今回の焼成温度では香ばしさが全く得られなかった点から、前回ロットは黒糖のカラメル化現象が起きたのではないかと推測した。
ショ糖のカラメル化温度は160℃。オーブンの温度設定は170℃であるが、乾熱処理であることや、熱エネルギーが油脂溶解、小麦粉のα化にも使用されることを考えると、21分の処理では品温内部まで160℃以上に到達したかどうかは疑問がのこる。
前回のロットで形状崩壊と同時に香ばしさが付与されたのは、どちらも焼成温度をやや高めとしたことによる黒砂糖のカラメル化によるものではないかと推測された。生成物中の砂糖がカラメル化することにより、体積が減少し垂直方向に圧縮され立体構造が崩壊すると同時に香ばしさが付与されたのではないかと推測された。

この推論を検証するためには、同一の組成の生地を170℃と175℃以上で焼成して違いを見る必要がある。


…だが、今日作ったブツが非常に美味しくない(腹が空いていれば食べられるレベル)で、当分クッキーは作りたくない。よって検証はいつか気が向いたときにでも。


画像3はサバサンド。んまかった!
春はサバサンドの季節である。新玉ねぎが甘いからである。
まだ鯖の切り身半分あるし、レモンも半分、新玉ねぎも半分あるので、明日ミニフランスパン買ってきてもう1回やろうと思う。

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